新しいゲームを作る時には企画書の作成を行います。
企業によっては企画書も仕様書も何も作らない方針の場合も存在しますが、一般的には企画書を作り、それを元にプレゼンが行われます。
その「企画書」を「仕様書」のように作る人が実は多いのです。
■企画書はA4紙1枚で良い?
企画書のフォーマットは企業によって異なりますが、多くの場合はA4サイズの紙にまとまるくらいの情報量で十分です。
それ以上になると文字が多くなり、企画書を「読む」ことに時間がかかって伝わらない場合があります。
この企画はこんな感じの遊び、という要点を伝えて、あとはプレゼンで補うくらいが丁度良いのです。
■入社試験のための企画書作り
就職活動でゲーム会社の企画職に応募する際、企画書を作って添付することがあります。その人の実力を見ると共に、ロジカルな考え方がしっかりできているかを判断する材料となります。
送られてくる企画書をそのままゲーム化することはまずありません。
ここで重要な点が、「ゲームの遊びが考えられているか」「面白さを考えて作られているか」です。
『パズル&ドラゴンズ』が売れているから3マッチパズルを取り入れます』
このような考え方は全く企画書には必要ありません。
パズルを解くことによりプレイヤーは何を得るのか、何故3マッチパズルのルールを使うのか。この「何故」を説明するための肉付けが必要です。
■企画以上に市場調査が重要
ありきたりなゲームルールでもまたダメで、完全なオリジナルは難しくても、過去5年で見られないような遊び、またはこれから登場する入力デバイスを使う遊びが考えられていれば検討の余地ありです。
実際に市場でどのような位置付けになるかを調査することも必要で、考えること以上に「商品」としての価値がどれくらいあるのかを知ることも重要です。
売れないと分かっている企画について議論するほど時間も余裕もないからです。
■企画書と仕様書の違い
企画書と仕様書は思っている以上に混同しやすく、それを受け取る上司ですら理解していないことが多々あります。
「企画書」はこれから作りたいと思っているゲーム(商品やコンテンツ)が一体どんなものなのか、上司はゼロから商品をイメージするわけですから、どんな商品かイメージするための道具と考えます。
「仕様書」はゲームの設計図なので、詳細な数値設定や動きの指示が書かれています。
『これがこう動いて、そうすると消えて敵に光の玉が飛んで行ってぶつかってダメージが与えられるゲームです』
これは企画ではなく仕様書に書かれる内容ですが、このように企画書を書く人も多いのです。遊びのルールや演出などは開発中に変更される可能性が多いものでもあるため、ゲームの核となる部分、企画がブレないためのコンセプトを決めるのが企画書だったりします。
■コンセプトを決めると企画書が作りやすい
例として、二つのコンセプトを作りました。
「お母さんと子供が一緒に手遊びができる」
「折り紙の折り方がわかるゲーム」
コンセプトとして書かれていた場合、どちらが面白そうだと感じるでしょうか。
どちらが正解とは言えませんが、前者の方がゲームとしての広がりがあります。後者は作るものが決まってしまうので「おもしろくない」と判断されいつまで経っても企画が通らないこともありえます。
完璧な企画書を作る必要はありません、むしろ作れません。
企画書を元にチームで議論をして肉付けしていくことで、面白いゲームに仕上がっていきます。
チームみんなに自分の考えを伝えるためのツールとして企画書を考えれば、必要なデータや市場についての知識も重要となってきます。