現在のスマホゲームは毎月の売り上げが非常に高いことで知られていますが、課金システムが洗練されているコンテンツとも読み取る事ができます。
『ぽちぽちゲーム』と呼ばれてゲーム開発者からは良い印象が無かったのがほんの5年ほど前のことです。そこから現在、こぞって携帯端末で遊べるゲームが作られるようになったのは何故なのでしょうか。
■「ゲーム」が面白いのか、「課金」で面白くなるのか
モバゲータウンやGREEが隆盛を極めた当時から今も変わらず、「ゲーム」としての面白さを追求すると儲からず、課金システムを追求するとゲームとして面白くない。そのせめぎ合いが続いています。
その結果、コンシューマーゲームをメインに開発している開発会社はソーシャルゲームの波に乗り遅れてしまい、ガラケー時代はことごとくベンチャー企業に負ける事になります。
ゲーム開発にはお金がかかるため費用を回収しなければなりませんが、パッケージ作品とは違い基本無料のゲームは試算しにくく手が出にくいのも事実です。また、携帯電話で扱えるマシンパワーも低く、1回のダウンロードで通信可能な約100kb(機種によっても異なります)のFlashゲームや、htmlの画面を遷移させるだけのコンテンツにする必要がありました。
その後、iPhoneの登場で立場は逆になり、現在は大手が大規模なお金をかけて大作を作ることとなるのですが。
■携帯ゲームを変えたiPhone
開発者には2パターンあって、実際にゲームを作る部隊と、課金システムやデータ分析をする部隊があります。データ分析という概念もまだ新しく、ブラウザゲームのPV数や大量のユーザーデータを有効活用するために始まりました。
まだ規制が無い2012年前後には、リアルタイムでガチャの排出を変更する技を駆使したレコメンドを行うゲームもありました。
こうして色々と化学反応が始まって、ブラウザゲームの分析力とスマートフォンのマシンパワーを合わせた現在の形になっいてきます。
■やはり強かったゲーム屋のゲーム
SEGAはセガネットワークスを立ち上げてオンラインゲーム専門部署を作り研究開発。独自の相互送客システム「ノアパス」を活用した送客を開始してアプリを盛り上げています。そして「チェインクロニクル」が大ヒットしスマートフォンアプリでも重厚なストーリーを楽しめると評価されています。
スクエニはサイゲームスと手を組んで出来た「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」が色々問題もありつつ、アップデートを重ねて大ヒットにまで成長させた手腕は見事です。
セガの初期のヒット作「キングダムコンクエスト」は後のクラッシュオブクランに影響を与える土台を作り成功しましたが、開発費数億の「デーモントライブ」もグラフィックやバトルなど面白くかなり挑戦的なタイトルでした。
スクエニは「ケイオスリングス」で売り切り型の先駆者となり、基本無料じゃなくてもやっていけることを証明。その後売り切り型は「ドラクエシリーズ」や「FFシリーズ」などのリメイクが大半を占めることになります。さらに、基本無料ゲームは他社と組んでとにかく数を出す。もともとスクエニは外部企業との連携が多く、そのネットワークを活かした戦略が身を結び、中ヒットをコンスタントに出して影響力を確固たるものとしました。
モバイルソーシャルゲームでトップを走っていたサイゲームスと組んだことで、元々スクエニが持っていたゲームの経験と、ガラケー・スマートフォンユーザーに対するアプローチを得意とするサイゲームスの知識が融合し、現在では最強タッグになっています。
■パズドラが開いた「パズルRPG」というジャンル
ここで忘れてはいけないガンホー、当時アメリカで流行していた「パズルクエスト」でも採用されていた「パズルRPG」というジャンルで作られたメガヒット作「パズドラ」は、リリースから3年以上も売り上げ1位を維持していました。ガンホーといえばPCオンラインゲームが有名だったので、そのノウハウがうまく生かされたのが大きい。
2012年ころはまだ「コンシューマー」と「ポチポチゲー」が真っ二つで、「ケータイゲームなんてクソだ」と言われていたころに地道に改良を加えて作られた独自路線が成功の要因だったと思います。
■これからは総合プロデュースが重要
今は一つのアプリを作るのに数億円かかるので、ほとんどコンシューマーゲームを作るのと変わりません。安くても数千万円規模です。一部会社の休み時間で作りました、というアイデア商品もありますが、求められる品質も高くなっているので費用が高くなりがちです。
「アプリでヒットすれば儲かる」という目標だけでは売れず、今後はしっかりとした「ゲーム」を作らなくては淘汰されていくでしょう。しかし他者の真似ばかりをしても売れるとは限らず、広告宣伝やリアルイベントに至るまで総合的なプロデュース能力が求められます。