最近一部の業界で人気のあるワード、それが「ナラティブ」です。
主にゲーム性についての講演で出てくることが多いですが、アートや書籍なんかでも使われています。
世界で活躍するクリエイターは皆、ナラティブを学べと言います。
ではナラティブってなんだ? という方に向けて言葉を定義してみましょう。
■開発者と消費者を繋ぐこと
ナラティブの意味は「Narrative(物語、語り)」と検索すると出てきます。
「物語デザイン」を学ぶということは、ストーリーやプレイヤーの行動を学ぶことになるのでしょうか。
多くの場合、ナラティブが使われる場所は創作の場所であり、何らかの作品やサービスに対して導入されます。(近年は医療などの分野でも使われ始めているようです)
作品を作る開発者がいて、出来上がった作品を消費する消費者がいます。
この「開発者」と「消費者」を繋げる要素がストーリーであり、世界観です。
そして、その二つを繋げる役目を担うのが「ナラティブ」になります。
■ナラティブを言葉で定義する
具体的にゲーム開発を例にしてナラティブを見ていきます。
ゲーム開発者はドラゴンが支配する世界をモチーフにしたRPGを作るとします。
それはフィクションであり、偽物の世界です。
偽物を楽しんでもらうためには、魅力的なストーリーやキャラクターが必要になります。
プレイヤーは、その与えられた世界の中で楽しむ事になるのですが、ナラティブはここで登場してきます。
▼開発者が作るもの
・偽物の世界
人間が経験することの無い、突飛な世界
↓
▼プレイヤーが感じとるもの
・想像も出来ないし、意味が分からない謎の世界
こうなると、なにも面白さが分からないクソゲーになります。
そこで、中間に「ナラティブ」の考え方を取り入れてプレイヤーに伝えます。
▼開発者が作るもの
・偽物の世界
人間が経験することの無い、突飛な世界
↓
▼ナラティブデザイン
偽物を本物にするためにゲームデザインで説明する。
主人公はスマートフォンの画面に吸い込まれ、気がつくと別の世界にいた。
↓
▼プレイヤーが感じとるもの
・自分がその世界で冒険している感覚、没入感
こうして、嘘をとりつくろう為の説明を加えていきます。
この「説明」がきちんと出来ているかが作品の質に影響します。
説明をするためには、登場人物の生い立ちや装備品、性格から友達まであらゆる設定を考えておきます。そうすることで、説明に無理が出なくなり、複雑な人間関係もスムーズに作り上げられます。
細かい違和感を無くして、納得する説明があれば突飛なファンタジーでも没入感を得られます。
ゲーム以外にもあらゆるものに使えるナラティブデザインを学んでいきましょう。